2025年9月 北海道そば畑をめぐって
2025年9月18日

牡丹そば圃場
2025年9月 北海道そば畑をめぐって
今年で3回目となる北海道のそば畑視察に出かけてきました。
私は長野県小諸市で製粉をしていますが、
そばの大産地といえばやはり北海道。
長野の約10倍の作付面積を誇るその規模は、
私たちにとっても切っても切れない存在です。
実際に足を運ぶと
「北海道のそば畑はとにかく広い!」
見渡す限り一面のそば畑に立つと、
農業のスケールに圧倒されると同時に、
人生観まで広がるような不思議な感覚を覚えます。
新十津川町(JAピンネ)
― 幻の「牡丹そば」
最初に訪れたのは新十津川町。
ここでは「牡丹そば」という在来種が守られています。
1930年に北海道で選抜された系統で、
かつては広く栽培されていましたが、
収量が少なく難しいことから
今では“幻のそば”と呼ばれる存在に。
JAピンネでは種を守り、
低温倉庫や精選施設で大切に管理しています。
今年の試し刈りは
少し厳しい結果だったそうですが、
現在の圃場は草丈も実付きも良く、
例年並みの収穫が期待できるとのこと。
香りや甘みで愛好家に人気の牡丹そば。
今年は大西製粉で製粉し、
多くのそば打ち愛好家様に楽しんでいただけそうです。

美瑛
旭川周辺 ― 思わぬ再会
次に向かったのは旭川。
昔からお付き合いのある集荷業者を訪問したのですが、
なんと担当者が大学の先輩!
少し年の差があるので知り合いではありませんでしたが、
高崎の街で同じ時期に過ごしていたとわかり、
思わぬ縁に驚かされました。
- 美瑛:すでに刈り取りが終わった畑もありましたが、根張りは良好。倒伏も見られ
ましたが、全体としては健やかな印象。 - 江丹別:湿害や雑草の影響が少なく、花も実も順調につけていました。
江丹別
幌加内 ― 日本一のそばの里
幌加内周辺に入ると、さすが“そばの町”。
- 下幌加内は草丈も高く、花や実の付きも良好。
- 役場周辺ではすでに刈り取りが始まっていて、そば祭りに合わせたのかな、と想像
が膨らみました。
沼田町と深川市 ― 米との兼業が見える風景
沼田町では米の収穫と並行してそば刈りをする農家さんの姿がありました。
早めに播種した圃場は
反収がやや低かったそうです。
一方、
深川市の多度志から湯内にかけての圃場は
根張りがよく、倒伏も少なく、
雑草や湿害の影響も軽微。
花も実も元気に育っていました。

沼田
今年の作柄をふり返って
今年は7月から8月にかけての高温や豪雨の影響で、播種前から玄そば価格は高めに動いて
いました。
実際に現地を見ても、
倒伏や湿害に悩まされる圃場がある一方で、
健全な畑もあり、
全体では「収量はそこそこ確保できるのでは」
という印象でした。
また、北海道では近年、
天候リスクを避けるために
播種を1週間〜10日ほど遅らせる傾向があります。
今年も9月初旬に花が満開で、
収穫は例年より遅れそうです。
さらに、米の生育が早く進んだため、
農家さんは米を最優先に。
そばの収穫や調整は9月末から10月上旬が
ピークになりそうでした。
まとめ
新十津川の「牡丹そば」、
旭川や幌加内の圃場、
そして米とそばが同居する沼田や深川。
今回の旅で、
北海道という大産地が持つ多様性と、
それを支える人々の努力を改めて感じました。
長野の製粉会社として北海道を訪れると、
自分の原点である信州そばと、
日本の食文化の広がりとが自然につながって見えてきます。
これからも北海道と長野、
両方の産地の魅力をお届けできるよう、
しっかり取り組んでいきたいと思います。
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